公認心理師試験 過去問捜査室

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公認心理師試験 第2回試験 問66 2019-066

問66 事例 4歳の女児A。Aは2週間前に豪雨による水害で被災し、避難所で寝泊まりをするようになった。避難所では母親のそばを片時も離れなかった。10日前に自宅に戻ったが、自宅でもAは母親にっいて回り、以前していた指しやぶりを再びするようになった。夜静まると戸外の音に敏感になり、「雨、たくさん降ったね。川からゴーって音したね」と同じ話を繰り返した。被災から2週間がたつがAは保育園にもまだ行けないため、母親は保育園を巡回している公認心理師に、対応の仕方を尋ねてきた。公認心理師の助言とLて、適切なものを1つ選ベ。

(1)通園させるように強く促す。

(2)母子が少しずっ離れる練習をする。

(3)指しやぶりを中やめさせるようにする。

(4)災害時の様子を話し始めたら、話題を変える。

(5)災害に関するニユースなどの映像を見せないようにする。

 

センターの答え (5)が適切

解説 小児のPTSD対応方法は未だ十分に認知されているとはいえず、今後の重要な課題であり、出題者がそれを提起したと思われます。今回の解答は容易ですが、今後はもう少し深めて出題されるのでしょう。

小児は、自分だけでは生きていくことができないために、これまで思われていた以上に心的外傷の影響を受けやすいといえます。また、恐怖体験が、叙述として記憶に整理されていないことが多く、それが侵入症状やフラッシュバック、程度の差こそあれ解離に近い状態をもたらしやすいと考えられます。

(1)(2)(3)は明らかにバツですが、(4)と(5)の区別がわかりにくいという方(はいないか?)のため、念のため解説しますと…設問(5=正解)のように、小児本人の意思によらない外傷体験の再生は、症状の悪化を招くので当然避けます。ここで、設問(4=誤り)のように、小児本人の意思により外傷体験が語られた場合は、子供のペースを尊重しながら丁寧に聴取します。聴取した後は必ず、「話してくれて有難う」「勇気を出して話すことができましたね」と労(ねぎら)います。また必要に応じて心理教育的内容を付与してクロージングします。いずれにしても、必出部分ですので、小児、成人ともに、PTSDの対応方法は整理して学習しておくのがよいでしょう。

■いくつかの大きな災害がありましたので、色々な立場でご苦労されたかたも多いのではないでしょうか。今後、再び、災いは忘れたころやって来ます。いまこうして心理師を目指して学ばれているかたは、必ずや人々の役に立つ存在となるに違いありません。

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