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第3回公認心理師試験(2020年12月)午後の問題と答えと解説

第3回公認心理師試験(2020年12月)午後の問題

問78~問154

 

問78 公認心理師が、成人のクライエントの心理に関する情報を医療チー

ムに提供する場合に事前に必要なものとして、正しいものを1つ選べ。

成年後見人の同意

② クライエント本人の同意

③ 医療チームが作成した手順書

④ ストレングス・アセスメント

⑤ シェアード・ディシジョン・メイキング

答=2

2が正しい

ストレングス・アセスメントとはチャールズ・A・ラップのストレングスモデルの考え方、設問には関係ない。シェアード・ディシジョン・メイキングとは患者と治療者が、治療法などを一緒に決める共有意思決定のこと、設問には関係ない。

 

問79 精神科領域における公認心理師の活動について、適切なものを1つ

選べ。

統合失調症患者に対するソーシャルスキルレーニング(SST)は、個

別指導が最も効果的とされる。

② 神経性やせ症/神経性無食欲症の患者が身体の話題を嫌う場合、身体

症状に触れずに心理療法を行う。

精神疾患への心理教育は、家族を治療支援者とするためのものであ

り、当事者には実施しない場合が多い。

境界性パーソナリティ障害の治療では、患者への支援だけではなく、

必要に応じてスタッフへの支援も行う。

⑤ 妊産婦に精神医学的問題がある場合、産科医が病状を把握していれ

ば、助産師と情報を共有する必要はない。

答=4

1:集団療法でよく用いられる

2:身体に対する認知の修正が必要(うまくはいかないが)

3:当事者にも実施する

4:正しい、スタッフが患者から操作されないように支援が必要

5:関係者の連携が必要

 

問80 心理学の研究法において、質問紙法と比較したときの面接法の特徴

として、適切なものを1つ選べ。

臨機応変な対応が困難である。

② 回答者に与える心理的圧力が弱い。

③ 回答者の個別の反応を収集しにくい。

④ データの収集に手間と時間がかかる。

⑤ 高齢者や幼い子どもには負担が大きい。

答=4

4以外は質問紙法の特徴である

 

問81 個体を最もよく識別できるように、観測変数の重みつき合計得点を

求める方法として、最も適切なものを1つ選べ。

① 因子分析

② 重回帰分析

③ 主成分分析

④ 正準相関分析

クラスター分析

答=3

沢山の変数から総合得点を計算したい場合には3の主成分分析を行う。

 

問82 2×2のクロス集計表における変数間の関連性を示す指標とし

て、最も適切なものを1つ選べ。

① 偏相関係数

② 順位相関係数

③ 積率相関係数

④ 部分相関係数

⑤ 四分点相関係数

答=4

普通の(連続性のある)データだったらピアソンの積率相関係数で相関関係を見るのだが、マス目わけ(クロス集計表)データに適応したものをファイ係数と呼ぶ。特に2×2マスの場合には、全部で4マスなので四分点相関係数という。

 

問83 ヒトの聴覚について、正しいものを1つ選べ。

① 蝸牛にある聴覚受容器は、双極細胞と呼ばれる。

② 音源定位には、両耳間時間差と両耳間強度差が用いられる。

③ ピッチ知覚の場所説は、高周波音の知覚の説明が困難である。

④ 聴覚感度は、可聴域内で周波数が高くなるほど単調に減少する。

⑤ 主観的な音の大きさであるラウドネスの単位は、デシベルである。

答=2

1:コルチ器とよばれる有毛細胞である。双極細胞は目の網膜。

2:正しい

3:場所説では低周波領域が説明できない

4:電子アラーム音の高さぐらいまで上昇する、もちろん単調(直線的)ではない

5:ラウドネストの単位はフォンphonかソンsonである。

 

問84 学習の生物的制約を示した実験の例として、最も適切なものを1つ

選べ。

① E. L. Thorndike が行ったネコの試行錯誤学習の実験

② H. F. Harlow が行ったアカゲザルの学習セットの実験

③ J. Garcia らが行ったラットの味覚嫌悪学習の実験

④ M. E. P. Seligman らが行ったイヌの学習性無力感の実験

⑤ W. Köhler が行ったチンパンジーの洞察学習の実験

答=3

生物的制約とは、動物本来の機能(生物の特性や本能)に沿った刺激は条件づけされやすいという現象のこと。

ここでは、3の味覚嫌悪学習が、動物本来の本能に沿った現象と言える。味覚嫌悪学習とは、サッカリンの味覚と放射線照射(照射されると吐き気がする)を同時に与える実験のこと。吐き気がするから本能的にサッカリンの味覚を避けるようになる。

 

問85 パーソナリティの理論について、正しいものを1つ選べ。

① 場理論では、環境とパーソナリティの二者関係をモデル化する。

② 期待−価値理論では、個人が生得的に有する期待、価値の観点から

パーソナリティの個人差を考える。

③ 5因子理論では、5つの特性の上位に、行動抑制系、行動賦活系とい

うつの動機づけシステムを仮定する。

④ 認知−感情システム理論では、個人の中に認知的・感情的ユニットを

仮定し、パーソナリティの構造を捉える。

⑤ パーソナル・コンストラクト理論では、個人の中にコンストラクトと

呼ばれる単一の認知的枠組みを仮定する。

答=4

1:場理論(クルトレビン)は特性と環境

2:期待―価値理論(アトキンソン)は体験的に会得した期待・価値観による

3:行動抑制系・行動賦活系は、気質モデル(感性強化性理論、グレイ)である。

4:正しい

5:パーソナルコンストラクト理論(ケリー)の認知の枠組みは、単一というよりも概念の束であり、経験によ変化・修正されていく。

 

問86 ヒトのサーカディアンリズムと睡眠について、正しいものを1つ選

べ。

① 加齢による影響を受けない。

メラトニンは、光刺激で分泌が低下する。

③ 時計中枢は、視床下部の室傍核に存在する。

④ 睡眠相遅延(後退)症候群は、夕方から強い眠気が出る。

⑤ ノンレム睡眠レム睡眠は、約 45 分の周期で出現する。

答=2

1:加齢の影響がある、実時間よりも前進していく

2:正しい

3:室傍核ではなく視交叉上核

4:深夜から明け方に

5:周期は90分、いちおうそういうことに

 

問87 社会的排斥の原因を説明する理論として、最も適切なものを1つ選

 べ。

① 衡平理論

② バランス理論

③ 社会的交換理論

④ 社会的インパクト理論

⑤ 社会的アイデンティティ理論

答=5

5が正しい、内集団(自己が所属する)と外集団を差異化して自尊心を維持しようとするため

 

問88 精神疾患の診断・統計マニュアル改訂第5版DSM-5について、

正しいものを1つ選べ。

① 機能の全体的評価を含む多軸診断を採用している。

② 次元モデルに基づく横断的症状尺度が導入されている。

強迫症強迫性障害は、不安症群/不安障害群に分類される。

④ 生活機能を心身機能・身体構造、活動及び参加の要素で捉えてい

る。

⑤ 分離不安症/分離不安障害は、「通常、幼児期、小児期または青年期

に初めて診断される障害」に分類される。

答=2

1:多元的

2:正しい

3:強迫性障害は不安障害群を離れ、独立した

4:WHODAS2.0の6領域で捉えている

5:分離不安障害は不安障害群に含まれることになった

 

問89 知能検査の実施について、最も適切なものを1つ選べ。

① 検査者が十分に習熟していない検査を用いることを控えた。

② 被検査者に求められたため、検査用紙をコピーして渡した。

③ 客観的情報を収集するために、被検査者とのラポール形成を避けた。

④ 被検査者が検査に対する先入観や恐怖心を抱かないように、事前に検

査について説明することを控えた。

⑤ 実施時間が時間を超え、被検査者が疲れている様子であったが、そ

のまま続けて全ての検査項目を実施した。

答=1

設問の通り

 

問90 MMPI の実施と解釈について、正しいものを1つ選べ。

① 各質問項目には、5件法で回答する。

② 追加尺度は、20 尺度開発されている。

③ F 尺度は、心理的防衛の高さを示している。

④ 第5尺度Mfは、性別により解釈基準が異なる。

⑤ 第0尺度Siと第7尺度Ptが 90 の場合は、精神的混乱状態と解釈できる。

答=4

1:2件法で答えるように教示する、どうしても答えられないときもいれれば3件法ともいえる

2:追加尺度は星の数ほどある

3:F尺度詐病(悪くみせたい)を表す

4:正しい

5:強迫性障害の可能性がある

 

問91 集団や組織、コミュニティにおいて、無力な状態にある人々が自ら

の中に力があることに気づき、能動的にそれを使い、環境の変化を求め

ていけるようになることを何というか、最も適切なものを1つ選べ。

自己実現

② コーピング

③ 自己効力感

④ コンピテンス

⑤ エンパワメント

答=5

設問の通り

 

問92 うつ病を疑わせる発言として、最も適切なものを1つ選べ。

① 眠る必要はないと思います。

② いつも誰かに見られている気がします。

③ 何をするのもおっくうで面倒くさいです。

④ 人前で何かするときにとても不安になります。

⑤ 鍵がかかっているかを何度も確認したくなります。

答=3

1:躁病エピソード

2:統合失調症

3:正しい

4:社交不安障害

5:強迫性障害

 

問93 物質関連障害について、正しいものを1つ選べ。

① 物質への渇望や強い欲求を身体依存という。

② 物質の使用を完全に中止した状態を離脱という。

③ 身体的に危険な状況にあっても物質の使用を反復することを中毒とい

う。

④ 同じ効果を得るために、より多くの物質の摂取が必要になることを耐

性という。

⑤ 物質の反復使用により出現した精神症状が、再使用によって初回より

も少量で出現するようになることを乱用という。

答=4

1:精神依存

2:離脱とは、減量や断薬によって一連の症状を呈すること。完全に中止した状態を何というのかはわかりません。

3:一応バツ。乱用、嗜癖、物質使用障害のいずれかが正しいと思われる(用語の変遷があるため)。

4:正しい

5:感作という。感作とは繰り返しにより薬物の効果が増強していくこと、精神刺物質などを間隔をあけて反復投与した場合に生じることがある。

 

問94 遺伝カウンセリングにおいて、経験的再発危険率が最も重要な疾患

として、正しいものを1つ選べ。

統合失調症

ダウン症候群

③ Huntington 病

④ 家族性 Alzheimer 病

⑤ 筋緊張性ジストロフィー症

答=1

遺伝カウンセリングの場で用いられる再発率(再発危険率)には2種類あって、ひとつは理論的再発率で、もうひとつが経験的再発率である。理論的再発率は、1個の遺伝子だけが原因だと確定している病気の場合で、理論的な計算で発生確率がわかる。しかしそうではない(1個の遺伝子だけとはいえない)場合、理論計算ではわからないので、これまでのいろいろな家系調査の蓄積データ、その他などから、発生確率を予想することになり、これを経験的再発率という。

1:正しい。家系調査の蓄積データによれば、両親とも統合失調症の場合その子供は45-50%で発生する。

2:センターの答えは誤り、となっておりますが、当方としては正しい、でもよいのではないかなと感じています。ですので判断は、みなさまそれぞれでお願いします。

当方が正しいと思う理由の一つに近いものが、あくまで参考ですが、東北大学の室月先生のホームページにもありましたので、参照くださればと思います。↓

http://plaza.umin.ac.jp/~fskel/cgi-bin/wiki/pdf/%25B7%25D0%25B8%25B3%25C5%25AA%25B4%25ED%25B8%25B1%25CE%25A8%25A4%25CB%25A4%25C4%25A4%25A4%25A4%25C6.pdf

あと、センター側として経験的再発危険率が最も重要「ではない」、と考えた理由を当方なりに考えてみますと、「出生前診断(NIPTやマーカーの採血、羊水検査、絨毛検査)のほうが重要」と考えたのたのかなあと推察します。

 

3:誤り。単一遺伝子病である(ハンチントン遺伝子)

4:誤り。単一遺伝子病である(AD1病=APP遺伝子,AD3病=PSEN1遺伝子,AD4病=PSEN2遺伝子)

5:誤り。単一の遺伝子部位(DMPK遺伝子)の異常(はじっこが長すぎ)である。

 

問95 災害時の保健医療支援体制について、最も適切なものを1つ選べ。

災害派遣精神医療チームDPAT)は、都道府県医師会によって組織さ

れる。

災害拠点病院は、高度の医療を提供できる 400 床以上の病院の中から

厚生労働省が指定する。

災害派遣医療チーム(DMAT)は、各都道府県で実施する養成研修の

修了者によって構成される。

④ 災害医療コーディネーターは、所定の研修を修了した者に対して厚生

労働省が付与する資格である。

⑤ 広域災害救急医療情報システム!EMIS$は、インターネット上で災害

時の医療情報の共有を図るシステムである。

答=5

1:医師会ではない。都道府県が組織する。

2:都道府県が指定する。

3:日本DMATの研修は厚生労働省が、都道府県DMATの研修は都道府県が実施する。

4:厚生労働省ではなく都道府県が任命する。

5:正しい

 

問96 Clinical Dementia Rating(CDR)について、正しいものを1つ選べ。

① 介護必要度に関する評価はしない。

② 質問調査による他者評価尺度である。

③ 健常と認知症の境界は、0.5 点である。

④ 判定には、家族からの情報は考慮されない。

⑤ 人の見当識障害は、中等度障害と判定される。

答=3

CDR(臨床認知症尺度)は認知症の重症度を評価する方法で、6項目について5段階からなる評価表で評価する。6項目とは=記憶、見当識、判断力問題解決、社会適応、家庭状況興味関心、介護状況。

1:介護状況もあり

2:直接診察および介護者からの情報で判断する

3:正しい。障害なし=0、認知症の疑い=0.5

4:介護者(家族等)からの情報も含まれる

5:人物への見当識障害は3(重度認知症)となる

 

問97 MMSE について、正しいものを1つ選べ。

① 非言語性課題が3問ある。

② 人の見当識課題は含まれない。

③ シリアル7課題(100 から7を順に引く)は4回まで行う。

④ 直後再生課題に続く課題の後に、遅延再生課題が実施される。

⑤ 直後再生課題では、全ての名称を言えるまで4回繰り返して尋ねる。

答=2

1:非言語性課題として図形模写が1問ある。

2:正しい

3:5回まで

4:直後再生課題の後、シリアル課題、遅延再生課題、の順で続く

5:6回まで

 

問98 学びは多様であるが、例えば洋裁を学ぶ際に、工房に弟子入りし、

仕上げ、縫製、裁断などの作業に従事し、やがて一人前となるような学

びを説明する概念として、最も適切なものを1つ選べ。

① 問題練習法

② ジグソー学習

③ 問題解決学習

正統的周辺参加

⑤ プログラム学習

答=4

設問のとおり

 

問99 我が国のキャリア教育において、文部科学省が示した小学校段階の

キャリア発達の特徴について、最も適切なものを1つ選べ。

① 低学年では、計画づくりの必要性に気づき、作業の手順が分かる。

② 低学年では、仕事における役割の関連性や変化に気づくようになる。

③ 中学年では、将来の夢や希望を持ち、実現を目指して努力しようとす

る。

④ 高学年では、自分のことは自分で行うようになる。

⑤ 高学年では、自分の長所や短所に気づき、自分らしさを発揮するよう

になる。

答=5

1:計画作りの必要性は中学年

2:仕事における役割は中学年

3:将来の夢や希望は高学年

4:自分のことは自分では低学年

5:正しい

 

問100 教育場面におけるパフォーマンス評価のための評価指標を示すも

のとして、正しいものを1つ選べ。

① ルーブリック

ポートフォリオ

③ テスト・リテラシー

ドキュメンテーション

⑤ カリキュラム・マネジメント

答=1

1:正しい

2:時系列に沿って記録を蓄積すること、関係ない

3:学力以外の受験能力や処理能力、解答方法、やまかけなど。関係ない

4:文書化して整理しておくこと、関係ない

5:カリキュラムを改善する一連のサイクル、関係ない

 

 

問101  2016 年(平成 28 )年から 2018 年(平成 30 年)

までの少年による刑法犯犯罪について、正しいものを1つ選べ。

① 検挙人員は減少している。

② 共犯者がいるものは 60 % 以上である。

③ 検挙されたもののうち、学生・生徒は 30 % 以下である。

④ 14 歳から 15 歳の検挙人員は、16 歳から 17 歳の検挙人員よりも多い。

⑤ 殺人・強盗・放火・強制性交等強姦の凶悪事件は 10 % 程度であ

る。

答=1

1:正しい

2:共犯率は21.8%

3:学生生徒は67.8%

4:わかりませんでした(当方の計算では両方同じくらいになりましたが、間違ってるかもしれません)

5:わかりませんでした(当方の計算では12%になりましたが、間違ってるかもしれません)

 

問102 社会的勢力は、組織や集団の目標を実現するためのリーダーの影

響力の基盤となる。このうち、メンバーがリーダーに対して好意や信

頼、尊敬を抱くことで、自らをリーダーと同一視することに基づく勢力

として、正しいものを1つ選べ。

① 強制勢力

② 準拠勢力

③ 正当勢力

④ 専門勢力

⑤ 報酬勢力

答=2

2:正しい。準拠勢力(リーダーへの尊敬、憧れ、同一視を目指せしむる力)

 

問103 大脳皮質運動関連領域の構造と機能について、正しいもの1をつ

選べ。

① 運動前野は、運動に対する欲求に関わる。

② 補足運動野は、運動の準備や計画に関わる。

③ 一次運動野は、体幹や四肢の平衡の維持に関わる。

④ 一次運動野は、Brodmann の野に位置している。

⑤ 一次運動野が障害されると、同側の対応する筋に麻痺が生じる。

答=2

1:運動前野は視覚による運動プログラムの発現にかかわる

2:正しい

3:一次運動野は運動の指令に関わる

4:一次運動野はブロードマン4野に相当

5:一次運動野の障害では反対側に麻痺を生じる

 

問104 神経性やせ症/神経性無食欲症の病態や治療について、正しいも

のを1つ選べ。

うつ病が合併することは少ない。

② 未治療時は、しばしば頻脈を呈する。

無月経にならないことが特徴である。

④ 心理社会的要因に加え、遺伝的要因も発症に関与する。

⑤ 未治療時に、しばしばリフィーディング症候群を発症する。

答=4

1:うつの合併がある

2:除脈(脈拍がおそくなる)

3:無月経になる

4:正しい。グレリンの遺伝的多形による

5:治療時(栄養補給時)に発生する。鳥取の餓え殺し

 

 

問105 双極性障害について、適切なものを1つ選べ。

① 遺伝的要因は、発症に関与しない。

うつ病相は、躁病相よりも長く続く。

③ 自殺のリスクは、単極性うつ病よりも低い。

うつ病相に移行したら、気分安定薬を中止する。

⑤ 気分の変動に伴ってみられる妄想は、嫉妬妄想が多い。

答=2

1:遺伝あり

2:正しい

3:自殺のリスク高い

4:気分安定薬を継続する、うつ病相にも有効

5:そう病相では誇大妄想、うつ病相では微小妄想

 

問106 向精神薬の薬物動態について、適切なものを1つ選べ。

① 胆汁中に排泄される。

② 主に腎臓で代謝される。

代謝により活性を失う。

④ 薬物の最高血中濃度は、効果発現の指標になる。

⑤ 初回通過効果は、経静脈的投与の際に影響が大きい。

答=1と3どちらも可

1:胆汁に排泄されるものと尿に排泄されるものがある

2:肝臓で代謝される

3:代謝されたものが活性をもっている場合がある(活性代謝物という)

4:正しい

5:経口投与の際

 

問107 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律精神保健福祉法)に基

づく精神障害者の入院について、正しいものを1つ選べ。

① 応急入院は、市町村長の同意に基づいて行われる。

措置入院は、72 時間を超えて入院することはできない。

措置入院は、名以上の精神保健指定医による診察を要する。

④ 緊急措置入院は、家族等の同意に基づいて緊急になされる入院をい

う。

医療保護入院は、本人と家族等の双方から書面による意思確認に基づ

いて行われる。

答=3

1:応急入院は、同意者を要しない

2:措置入院は、時間限度なし

3:正しい

4:緊急措置入院は、同意者を必要としない

5:医療保護入院は、家族からの同意書面(本人ではない)

 

問108 労働基準法に基づく年次有給休暇について、正しいものを1つ選

べ。

① 雇入れの日からか月間継続勤務した労働者に対して付与される。

② 原則として、法定休日を除き連続して日間以上の年次有給休暇の取

得は認められていない。

③ 週所定労働日数及び週所定労働時間によって、付与される年次有給休

暇の日数が異なる場合がある。

④ パートタイム労働者への年次有給休暇の付与は、法による定めはな

く、各事業者の方針によって決定される。

⑤ 事業の正常な運営が妨げられる場合においても、労働者は希望した日

年次有給休暇を取得することができる。

答=3

1:6か月間継続勤務

2:連続取得は禁止されていない

3:正しい

4:法の定めがある

5:会社側に時季変更権がある

 

問109 公認心理師の対応として、不適切なものを1つ選べ。

① 親友に頼まれて、その妹の心理療法を開始した。

② カウンセリング中のクライエントに自傷他害のおそれが出現したた

め、家族に伝えた。

③ 治験審査委員会が承認した第Ⅲ相試験で心理検査を担当し、製薬会社

から報酬を得た。

④ カウンセリング終結前に転勤が決まり、クライエントへの配慮をしな

がら、別の担当者を紹介した。

⑤ 年前から家庭内暴力(DV)を受けているクライエントの裁判に出廷

し、クライエントの同意を得た相談内容を開示した。

答=1

1:二重関係になるため不適切

他は適切である

 

問110 心理臨床の現場で働く公認心理師の成長モデルとスーパービジョ

ンについて、不適切なものを1つ選べ。

① 自己研さんのつとして、教育分析がある。

公認心理師の発達段階に合わせたスーパービジョンが必要である。

③ 自己課題の発見や自己点検といった内省の促進は、スーパービジョン

の目的である。

④ M. H. Ronnestad と T. M. Skovholt は、カウンセラーの段階的な発達

モデルを示した。

⑤ 経験の浅い公認心理師のスーパービジョンにおいては、情緒的な支え

よりも技術指導が重要である。

答=5

1:正しい

2:正しい

3:正しい

4:正しい。人名の読み方は英語読みでRonnestadロンステッドとSkovholtスカヴォルト。ノルウェー語での発音はわかんない、すみませんベクラーゲル <(_ _)>

5:いうまでもなく間違い

 

問111 児童虐待防止対策における、児童相談所の体制及び関係機関間の

連携強化について、不適切なものを1つ選べ。

① 児童心理司を政令で定める基準を標準として配置する。

② 第三者評価など、児童相談所の業務の質の評価を実施する。

都道府県は、一時保護などの介入対応を行う職員と、保護者支援を行

う職員を同一の者とする。

④ 学校、教育委員会児童福祉施設等の職員は、職務上知り得た児童に

関する秘密について守秘義務を負う。

家庭内暴力(DV)対策と児童虐待対応の連携を強化し、婦人相談所や

配偶者暴力相談支援センターなどとの連携・協力を行う。

答=3

1:正しい

2:正しい

3:担当者が別のほうが良いのは当然ですが、法による定めがあるかどうかはわかりませんでした。

4:正しい

5:正しい

 

問112 流動性知能の特徴として、不適切なものを1つ選べ。

① 図形を把握する問題で測られる。

② いわゆる「頭の回転の速さ」と関連する。

③ 学校教育や文化的環境の影響を受けやすい。

④ 新しい課題に対する探索的問題解決能力である。

⑤ 結晶性知能と比べて能力のピークが早期に訪れる。

答=3

1:正しい

2:正しい

3:これは結晶性知能のこと

4:正しい

5:正しい

 

問113 A. D. Baddeley のワーキングメモリ・モデルのサブシステムとして、

誤っているものを1つ選べ。

① 感覚貯蔵

② 音韻ループ

③ 中央実行系

④ エピソード・バッファ

⑤ 視空間スケッチパッド

答=1

1:これはアトキンソンとシフリンの二重貯蔵モデル

2:正しい

3:正しい

4:正しい

5:正しい

 

問114 U. Neisser が仮定する5つの自己知識について、不適切なものを

1つ選べ。

① 公的自己

② 概念的自己

③ 対人的自己

生態学的自己

⑤ 拡張的/想起的自己

答=1

1:私的自己(他社とは違う自分)

2:正しい

3:正しい

4:正しい

5:正しい

 

問115 発達障害のある子どもの親を対象としたペアレント・トレーニン

グについて、不適切なものを1つ選べ。

① 育児から生じるストレスによる悪循環を改善する。

② 対象は母親に限定していないが、参加者の多くは母親である。

③ 親と子どもが一緒に行うプレイセラピーを基本として発展してきた。

④ 子どもへの関わり方を学ぶことで、より良い親子関係を築こうとする

ものである。

⑤ 注意欠如多動症/注意欠如多動性障害(AD/HD)のある子どもの親に

有効である。

答=3

1:正しい

2:正しい

3:オペラント条件付けの行動原理と応用行動分析に基づいた着想から、1965年から1975年の間に、初期のペアレントレーニング治療モデルが確立した。プレイセラピーとは全く関係がない。

4:正しい

5:正しい

 

問116 動機づけ面接の基本的スキルとして、不適切なものを1つ選べ。

① クライエントが今までに話したことを整理し、まとめて聞き返す。

② クライエントの答え方に幅広い自由度を持たせるような質問をする。

③ クライエントの思いを理解しつつ、公認心理師自身の心の動きにも敏

感になる。

④ クライエントの気づきをより促すことができるように、言葉を選んで

聞き返す。

⑤ クライエントの話の中からポジティブな部分を強調し、クライエント

の価値を認める。

答=3

3が不適切。クライアントの心の動き、両価性感情などに敏感になるようにする。

 

問117 公認心理師が留意すべき職責や倫理について、不適切なものを

1つ選べ。

心理的支援に関する知識及び技術の習得など資質向上に努めなければ

ならない。

② 法律上の「秘密保持」と比べて、職業倫理上の「秘密保持」の方が広い概

念である。

心理的支援の内容・方法について、クライエントに十分に説明を行

い、同意を得る。

④ 心理状態の観察・分析などの内容について、適切に記録し、必要に応

じて関係者に説明ができる。

⑤ クライエントの見捨てられ不安を防ぐため、一度受理したケースは別

の相談機関に紹介リファー

しない。

答=5

5が不適切。必要に応じて適宜リファーすることが必要。

 

問118 児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)が施行された

2000 年(平成 12 年)から 2018 年(平成 30 年)までの間、児童相談所にお

ける児童虐待相談対応件数は年々増加しているが、その背景として想定

されるものの中で、不適切なものを1つ選べ。

① 警察との連携強化により、警察からの通告が急増した。

児童相談所全国共通ダイヤルの運用などにより、社会的意識が高まっ

た。

③ 相談対応件数全体におけるネグレクトによる通告件数の割合が急増し

た。

④ 子どもの面前の家庭内暴力!DV$が心理的虐待に含まれるようになっ

た。

⑤ きょうだい児への虐待は、他のきょうだい児への心理的虐待であると

みなされるようになった。

答=3

1:正しい

2:正しい

3:ネグレクトが減り心理的虐待が増加

4:正しい

5:正しい

 

問119 学級経営について、不適切なものを1つ選べ。

① 学級集団のアセスメントツールには、Q-U などがある。

② 学級経営には、教師のリーダーシップスタイルの影響が大きい。

③ 学級づくりの1つの方法として、構成的グループエンカウンターがあ

る。

④ 学校の管理下における暴力行為の発生率は、小学校より中学校の方が

高い。

⑤ 問題行動を示す特定の児童生徒が教室内にいる場合、その児童生徒の

対応に集中的に取り組む。

答=5

1:正しい

2:正しい

3:正しい

4:正しい

5:学校全体で全体的に取り組む

 

問120 慢性疲労症候群について、不適切なものを1つ選べ。

① 男性より女性に多い。

② 筋肉痛がよくみられる。

睡眠障害がよくみられる。

④ 6か月以上持続する著しい倦怠感が特徴である。

⑤ 体を動かすことによって軽減する倦怠感が特徴である。

答=5

1:正しい

2:正しい

3:正しい

4:正しい

5:体を動かすだけで倦怠感が増悪する

 

問121 発達障害者支援法について、不適切なものを1つ選べ。

① 発達支援には、医療的援助も含まれる。

② 支援対象には、18 歳未満の者も含まれる。

③ 支援対象には、発達障害者の家族も含まれる。

④ 国の責務の他に、地方公共団体の責務も定められている。

⑤ 支援は、個々の発達障害者の性別、年齢及び障害の状態に関係なく、

一律に行う。

答=5

1:正しい

2:正しい

3:正しい

4:正しい

5:障害に応じた支援を行う

 

問122 学校教育法施行規則において、小学校及び中学校のいずれにも設

置が規定されていないものをつ選べ。

① 学年主任

② 教務主任

③ 保健主事

④ 教育相談主任

⑤ 進路指導主事

答=4

1:設置

2:設置

3:設置

4:教育相談主任は設置されていない。教育相談コーディネーターが設置されている

5:設置

 

問123 保護観察所の業務として、不適切なものを1つ選べ。

① 精神保健観察を実施する。

② 仮釈放者に対する保護観察を実施する。

③ 遵守事項違反による仮釈放の取消しを行う。

④ 保護観察に付された者に対する恩赦の上申を行う。

⑤ 少年院に入院中の少年に対する生活環境の調整を実施する。

答=3

1:正しい

2:正しい

3:仮釈放の許し・取消しは、地方更生保護委員会が行う

4:正しい

5:正しい

 

問124 チーム医療について、最も適切なものを1つ選べ。

① 多職種でのカンファレンスは、議論や検討の場ではない。

② 医療に従事する多種多様な医療スタッフが、場所を共有する。

③ 患者自身がチームの意思決定や治療選択に関わることはない。

④ 各職種の機能と役割について、互いに知っておくことが必要である。

答=4

設問のとおり

 

問125 J. E. Marcia が提起した自我同一性地位について、正しいものを

1つ選べ。

① 同一性達成型とは、人生上の危機を経験し、職業などの人生の重要な

領域に積極的に傾倒している地位である。

② 早期完了型とは、人生上の危機を発達早期に経験し、職業などの人生

の重要な領域に積極的に傾倒している地位である。

③ モラトリアム型とは、人生上の危機を経験しておらず、職業などの人

生の重要な領域に積極的に傾倒していない地位である。

④ 同一性拡散型とは、人生上の危機を経験していないが、職業などの人

生の重要な領域に積極的に傾倒しようと努力している地位である。

答=1

1:正しい

2:人生上の危機はまだない

3:危機の最中である

4:傾倒もしない

 

問126 DSM-5の急性ストレス障害(Acute Stress Disorder)について、

正しいものを1つ選べ。

① 主な症状の1つに、周囲または自分自身の現実が変容した感覚があ

る。

② 心的外傷的出来事は、直接体験に限られ、他者に生じた出来事の目撃

は除外される。

③ 6歳以下の場合、死や暴力、性被害などの心的外傷体験がなくても発

症することがある。

④ 心的外傷的出来事の体験後、週間以上症状が持続した場合は心的外

傷後ストレス障害PTSD)に診断を切り替える。

答=1

1:正しい

2:目撃も可

3:心的外傷体験を要する

4:4週間以上

 

問127 作業同盟(治療同盟)に関する実証研究について、正しいものを

1つ選べ。

① 作業同盟が強固であるほど、介入効果は良好である。

② 作業同盟の概念には、課題に関する合意は含まれない。

③ 作業同盟の効果は、対人プロセス想起法によって測定される。

④ 作業同盟が確立していることは、心理療法の介入効果の必要十分条件

である。

答=1

1:正しい

2:合意が含まれる

3:対人プロセス想起法は、カウンセリング手技の振返りや効果的質問の選別などに用いられる

4:作業同盟の確立がないからといって心理的介入が全く無効というわけではない

 

問128 感情と文化の関連性について、不適切なものを1つ選べ。

① 各文化にはそれぞれ特異な社会的表示規則があり、それによって感情

表出が大きく異なり得る。

② 社会的構成主義によれば、それぞれの文化に固有の感情概念や感情語

によって、感情経験が大きく異なり得る。

③ 日米比較研究によれば、見知らぬ他者と同席するような状況では、概

して日本人は表情が乏しくなる傾向がある。

④ 日本で優勢とされる相互協調的自己の文化では、米国で優勢とされる

相互独立的自己の文化に比して、怒りや誇りが経験されやすい。

答=4

1:正しい

2:正しい

3:正しい

4:相互協調的自己観のほうが、怒りや誇りの感情は抑制されやすい

 

問129 副交感神経系が優位な状態として、正しいものを2つ選べ。

① 血管拡張

② 血糖上昇

③ 瞳孔散大

④ 胃酸分泌の減少

⑤ 消化管運動の亢進

答=1と5

1:正しい

2:それは交感神経優位のとき

3:それは交感神経優位のとき

4:それは交感神経優位のとき

5:正しい

 

問130 生物心理社会モデルに共通する考え方を含んでいるものとして、

適切なものを2つ選べ。

DSM-5

② HTP テスト

③ 洞察の三角形

④ Cannon-Bard 説

国際生活機能分類ICF

答=1と5

1:正しい

2:バックが開発した描画検査、よって関係ない

3:時間と転移関係を精神分析的に表したもの(北山修精神分析理論と臨床、2001)、よって関係ない。「あの素晴らしい愛をもう一度」と洞察の三角形は、関係がある、たぶん。

4:感情の中枢起源説、よって関係ない

5:正しい

 

問131 むずむず脚症候群について、正しいものを2つ選べ。

① 妊婦に多い。

② 鉄欠乏性貧血患者に多い。

③ 運動によって症状は増悪する。

早朝覚醒時に出現する異常感覚が特徴である。

選択的セロトニン再取り込み阻害薬SSRI)によって症状が改善する。

答=1と2

1:正しい

2:正しい

3:足を動かすと楽になる

4:入眠時に出現しやすい

5:SSRIは無効。ドーパミン受容体作動薬が有効

 

問132 アルコール依存症離脱症状について、正しいものを2つ選べ。

① 過眠

② 幻視

③ 徐脈

④ 多幸

⑤ けいれん

答=2と5

1:不眠

2:正しい

3:頻脈

4:苦痛

5:正しい

 

問133 高齢者に副作用の少ない睡眠薬として、適切なものを2つ選べ。

バルビツール酸系薬剤

② フェノチアジン系薬剤

オレキシン受容体拮抗薬

メラトニン受容体作動薬

ベンゾジアゼピン受容体作動薬

答=3と4

3と4は、自然な眠りに関与する脳内物質に近いので、副作用は少ないとされる

 

問134 社会状況の変遷によって、子どもの不登校もその発生や捉え方も

変遷してきた。この不登校の現象について、適切なものを2つ選べ。

① 1960 年代に、ニューカマー家庭の不就学が問題となった。

② 1980 年代の詰め込み教育の時代に、学校恐怖症が発見された。

③ 1990 年前後のバブル経済の時代に、登校拒否という言葉が生まれた。

④ 2000 年代の児童虐待防止法改正以降、居所不明児が注目された。

⑤ 現在、不登校の子どもを対象とする特別の教育課程を編成することが

できる。

注:「児童虐待防止法」とは、「児童虐待の防止等に関する法律」である。

答=4と5

1:ニューカマー家庭不就学の問題は、1988入国管理法改正以降のブラジル・ペルーなどからの入国者増加による

2:学校恐怖症の表記は1960年以降である

3:登校拒否の表記は1959年以降である

4:まあ正しい、正確には2010所在不明児童の死亡が相次いだことに端を発する

5:正しい。指定校が2020年9月時点で16校となった。

 

問135 健康日本21(第二次)において、こころの健康として数値目標が設

定されている精神障害として、適切なものを2つ選べ。

① 依存症

気分障害

適応障害

発達障害

⑤ 不安障害

答=2と5

こころの健康数値目標が設定されているものは、自殺者の減少、気分障害(不安障害)者の減少、メンタルヘルス措置職場の増加、小児科医児童精神科医の増加である。

よって2と5が正しい。

 

問136 歳の女児 A。A は離婚した母親 B と共に、B の実家で祖父母や

叔母と住んでいる。実家の敷地内には、伯父夫婦やいとこが住んでいる

家もある。昼過ぎから深夜にかけて仕事に出ている B に代わり、祖父

母や叔母がときどき農作業の手を休めて、A の世話をしている。いと

こたちが学校や幼稚園から帰宅すると、A は年長のいとこに見守られ、

ときには抱っこされながら、夕食までの時間を過ごしている。

A に対する養育の解釈として、最も適切なものを1つ選べ。

① クーイング

コーチン

③ マザリーズ

ミラーリング

⑤ アロマザリング

答=5

設問では母親以外が子育てをして母親の負担をシェアしており、これをアロマザリングという。アロマザリングのアロとはallo-:他の、を意味する接頭詞、つまり母親以外という意味。

 

問137  30 歳の男性 A、会社員。独身で一人暮らしである。A は、職場で

の不適応感を訴えて精神科を受診した。幼少期から心配性と言われてき

たが、ここ半年ほどでその傾向が一層強まってきた。仕事で失敗した

り、失業したりするのではないか、重大な病気にかかっているのではな

いかなど気になって仕方がない。自分でも心配しすぎだと分かってはい

るが、いらいらし、仕事にも集中できず、疲労がつのる。寝つきも悪

く、しばしば早朝に覚醒してしまうこともある。

医師から A の状態をアセスメントするよう依頼された公認心理師が、

A に実施するテストバッテリーに含めるものとして、最も適切なもの

を1つ選べ。

① AQ-J

② CAPS

③ GAD-
④ LSAS-J

⑤ Y-BOCS

答=3

設問からは不安障害(全般性不安障害)と推察される。

1:日本語版自閉症スペクトラム指数、よって関係ない

2:PTSD臨床診断面接尺度、よって関係ない

3:全般性不安障害尺度7、正しい

4:リーボヴィッツ社交不安尺度、おしいが社交不安ではない

5:エールブラウン強迫尺度、おしいが強迫障害ではない

 

問138  37 歳の男性 A、会社員。A は、大学卒業後、製造業に就職し、約

10 年従事したエンジニア部門から年前に管理部門に異動となった。

元来、完璧主義で、慣れない仕事への戸惑いを抱えながら仕事を始め

た。しかし、8か月前から次第に仕事がたまるようになり、倦怠感が強

まり、欠勤も増えた。その後、
か月前に抑うつ気分と気力の低下を主

訴に精神科を受診し、うつ病と診断された。そして、抗うつ薬による薬

物療法の開始と同時に休職となった。しかし、主治医による外来治療を

6か月間受けたが、抑うつ症状が遷延している。院内の公認心理師に、

主治医から A の心理的支援が依頼された。

このときの A への対応として、最も優先されるべきものをつ選べ。

① 散歩を勧める。

② HAM-D を行う。

うつ病の心理教育を行う。

認知行動療法の導入を提案する。

⑤ 発症要因と症状持続要因の評価を行う。

答=5

うつ病治療薬が無効であることから、双極性障害Ⅱ型、発達障害人格障害などをベースとした適応障害の可能性もあります。

1:散歩は回復期の日内リズム形成に。よって不適切

2:ハミルトンうつ病評価尺度:うつ病でないかも、よって不適切

3:うつ病の心理教育:うつ病でないかも、よって不適切

4:認知行動療法うつ病でないかも、よって不適切

5:再度要因の調査が必要なので、正しい

 

問139  87 歳の女性 A。A は、軽度の Alzheimer 型認知症であり、日常

生活において全面的に介助が必要である。特別養護老人ホームのショー

トステイ利用中に、介護士 B から虐待を受けているとの通報が、同僚

から上司に寄せられた。施設の担当者がAに確認したところ、B に太

ももを平手で叩かれながら乱暴にオムツを替えられ、荒々しい言葉をか

けられたとのことであった。A は、夫と死別後、息子夫婦と同居した

が、家族とは別の小屋のような建物で一人離れて生活させられていた。

食事は、家族が気が向いたときに残り物を食べさせられ、食べ残すと強

く叱られたことも、今回の調査で判明した。

AがBと家族の双方から受けている共通の虐待として、最も適切な

ものを1つ選べ。

性的虐待

② 経済的虐待

③ 身体的虐待

心理的虐待

⑤ ネグレクト

答=4

共通する部分は、心理的虐待の部分である。

 

問140  75 歳の男性 A。A の物忘れを心配した妻の勧めで、A は医療機関

を受診し、公認心理師 B がインテーク面接を担当した。B から「今日は

何日ですか」と聞かれると、「この年になったら日にちなんか気にしない

からね」と A は答えた。さらに、B から「物忘れはしますか」と聞かれる

と、「多少しますが、別に困っていません。メモをしますから大丈夫で

す」と A は答えた。

A に認められる症状として、最も適切なものを1つ選べ。

抑うつ状態

② 取り繕い反応

半側空間無視

④ 振り返り徴候

⑤ ものとられ妄想

答=2

設問より2が正しい。取り繕い反応はアルツハイマーでよく見られる。それは記憶障害の低下にくらべて判断力が維持されるため、うまくつじつまをあわせようとの判断からと思われる。

 

問141  16 歳の男子 A、高校年生。A は、友達と一緒に原動機付自転車

無免許運転をしていたところを逮捕され、これを契機に、教師に勧め

られ、スクールカウンセラー B のもとを訪れた。A には非行前歴はな

く、無免許運転についてしきりに「友達に誘われたからやった」「みんな

やっている」「誰にも迷惑をかけていない」などと言い訳をした。B は、

A の非行性は進んでいるものではなく、善悪の区別もついているが、

口実を見つけることで非行への抵抗を弱くしていると理解した。

BがAの非行を理解するのに適合する非行理論として、最も適切な

ものを1つ選べ。

① A. K. Cohen の非行下位文化理論

② D. Matza の漂流理論

③ E. H. Sutherland の分化的接触理論

④ T. Hirschi の社会的絆理論

⑤ T. Sellin の文化葛藤理論

答=2

1:主流の規範にあるからこその下位の逸脱行為、ここでは違う

2:非合法文化と合法文化の間をさまよう、ここでは最も近い

3:ホワイトカラー犯罪研究から得られた犯罪原因理論、ここでは違う

4:犯罪を行わない理由から考える理論、ここでは違う

5:規範や文化の衝突によるとする理論、ここでは違う

 

問142  55 歳の男性 A、会社員。A の妻 B が、心理相談室を開設してい

公認心理師 C に相談した。A は、元来真面目な性格で、これまで常

識的に行動していたが、2・3か月前から身だしなみに気を遣わなくな

り、部下や同僚の持ち物を勝手に持ち去り、苦情を受けても素知らぬ顔

をするなどの行動が目立つようになった。先日、A はデパートで必要

とは思われない商品を次々とポケットに入れ、支払いをせずに店を出

て、窃盗の容疑により逮捕された。現在は在宅のまま取調べを受けてい

る。B は、逮捕されたことを全く意に介していない様子の A について、

どのように理解し、対応したらよいかを C に尋ねた。

C の B への対応として、最も優先度が高いものを1つ選べ。

① Aの抑圧されていた衝動に対する理解を求める。

② Aの器質的疾患を疑い、医療機関の受診を勧める。

③ A に内省的構えを持たせるため、カウンセリングを受けるよう勧め

る。

④ Aに再犯リスクアセスメントを実施した後、対応策を考えたいと提

案する。

⑤ Aの会社や家庭におけるストレスを明らかにし、それを低減させる

よう助言する。

答=2

人格変化の出現より、いわゆるピック病(前頭葉と側頭葉に萎縮がある)と推察される。そのほか、脳腫瘍が発生したという可能性もある。よって2が正しい。

 

問143  20 代の男性 A、会社員。A は、300 名の従業員が在籍する事業所

に勤務している。A は、うつ病の診断により、3か月前から休職して

いる。現在は主治医との診察のほかに、勤務先の企業が契約している外

部のメンタルヘルス相談機関において、公認心理師 B とのカウンセリ

ングを継続している。抑うつ気分は軽快し、睡眠リズムや食欲等も改善

している。直近週間の生活リズムを記載した表によれば、平日は職場

近くの図書館で新聞や仕事に関連する図書を読む日課を続けている。職

場復帰に向けた意欲も高まっており、主治医は職場復帰に賛同してい

る。

次に B が行うこととして、最も適切なものを1つ選べ。

傷病手当金の制度や手続について、A に説明する。

② Aの診断名と病状について、管理監督者に報告する。

③ 職場復帰の意向について管理監督者に伝えるよう、A に提案する。

④ 職場復帰に関する意見書を作成し、A を通して管理監督者に提出す

る。

⑤ A の主治医と相談しながら職場復帰支援プランを作成し、産業医

提出する。

答=3

職場復帰に向けての手順を問う問題。

1:傷病手当金は休職前提の制度である

2:主治医意見書はもうすこし先になる

3:正しい。まずは職場の復職等の担当者(管理監督者と読んでもよい)に意向を伝え、すり合せをはじめる。

4:意見書を作成するのは医師

5:職場復帰プランの相談先は産業医、提出先は職場の復職等の担当者となる

 

問144  35 歳の男性 A、会社員。A は、製造業で 1,000 名以上の従業員が

在籍する大規模事業所に勤務している。約か月前に現在の部署に異動

した。か月ほど前から、疲労感が強く、体調不良を理由に欠勤するこ

とが増えた。考えもまとまらない気がするため、健康管理室に来室し、

公認心理師 B と面談した。A は B に対して、現在の仕事を続けていく

自信がないことや、部下や後輩の指導に難しさを感じていること、疲労

感が持続していることなどを話した。前月の時間外労働は約 90 時間で

あった。

このときの B の対応として、最も適切なものを1つ選べ。

① 面談内容に基づき、A に休職を勧告する。

② A の上司に連絡して、業務分掌の変更を要請する。

③ 医師による面接指導の申出を行うよう、A に勧める。

④ 積極的に傾聴し、あまり仕事のことを気にしないよう、A に助言す

る。

⑤ 急性のストレス反応であるため、秘密保持義務を遵守して A の定期

的な観察を続ける。

答=3

設問には法定労働時間と所定労働時間の区別記載はないものの、80時間を超えており、疲労の蓄積があることから、医師面談を受けてはどうかと勧めるのが最も良い。よって3が正しい。

 

問145  20 歳の女性 A、大学年生。A は「1か月前くらいから教室に入

るのが怖くなった。このままでは単位を落としてしまう」と訴え、学生

相談室に来室した。これまでの来室歴はなく、単位の取得状況にも問題

はみられない。友人は少数だが関係は良好で、家族との関係にも不満は

ないという。睡眠や食欲の乱れもみられないが、同じ頃から電車に乗る

ことが怖くなり、外出が難しいと訴える。

公認心理師である相談員が、インテーク面接で行う対応として、不適

切なものを1つ選べ。

① Aに知能検査を行い知的水準を把握する。

② Aが何を問題だと考えているのかを把握する。

③ A がどのような解決を望んでいるのかを把握する。

④ 恐怖が引き起こされる刺激について具体的に尋ねる。

⑤ 恐怖のために生じている困り事について具体的に尋ねる。

答=1

不安障害群のうちのいずれかと推察される。電車恐怖はパニック症のひとには多い症状。

1:知能とは関係ない、そもそも初回から知能検査はしない。

2:正しい

3:正しい

4:正しい

5:正しい

 

問146  55 歳の男性 A、会社員。A は、意欲や活気がなくなってきたこと

から妻 B と共に受診した。A はか月前に部長に昇進し張り切って仕

事をしていたが、か月前から次第に夜眠れなくなり、食欲も低下し

た。仕事に集中できず、部下に対して適切に指示ができなくなった。休

日は部屋にこもり、問いかけに何も反応しないことが多くなり、飲酒量

が増えた。診察時、問診に対する反応は鈍く、「もうだめです。先のこ

とが見通せません。こんなはずじゃなかった」などと述べた。血液生化

学検査に異常所見はみられなかった。診察後、医師から公認心理師 C

に、B に対して家族教育を行うよう指示があった。

C の B への説明として、不適切なものを1つ選べ。

薬物療法が治療の1つになります。

② 入院治療が必要になる可能性があります。

③ できる限り休息をとらせるようにしてください。

④ 今は落ち着いているので自殺の危険性は低いと思います。

⑤ 気晴らしに何かをさせることは負担になることもあります。

答=4

いわゆる昇進うつ、と推察される。

1:正しい

2:正しい

3:正しい

4:間違い。自殺の可能性はありうる。

5:正しい

 

問147  12 歳の女児 A、小学6年生。A は、7月初旬から休み始め、10

月に入っても登校しなかったが、10 月初旬の運動会が終わった翌週か

ら週に一度ほど午前 10 時頃に一人で登校し、夕方まで保健室で過ごし

ている。担任教師は、A と話をしたり、保護者と連絡を取ったりしな

がら、A の欠席の原因を考えているが、A の欠席の原因は分からない

という。スクールカウンセラー B が A と保健室で面接した。A は「教

室には絶対に行きたくない」と言っている。

B の A への対応として、不適切なものを1つ選べ。

① 可能であれば保護者にAの様子を尋ねる。

② A がいじめ被害に遭っていないかを確認する。

③ 家庭の状況について情報を収集し、虐待のリスクを検討する。

養護教諭と連携し、A に身体症状がないかどうかを確認する。

⑤ Aが毎日登校することを第一目標と考え、そのための支援方法を考

える。

答=5

いわゆる保健室登校で、教室に入れない理由が不明確なケース。実際にも不明確なケースは多い。

1:正しい

2:正しい

3:正しい

4:正しい

5:登校そのものを第1目標にするのはもちろん不適切である。一方で、登校そのものを頭から否定する考え方についても、それ以上に問題があるという意見は多い。

 

問148  A 社は、新規に参入した建設業である。最近、高所作業中に作業

器具を落下させる事例が立て続けに発生し、地上で作業する従業員が負

傷する事故が相次いだ。そのため、事故防止のための委員会を立ち上げ

ることになり、公認心理師が委員として選ばれた。委員会では、行政が

推奨する落下物による事故防止マニュアルが用いられている。

事故防止の仕組みや制度の提案として、不適切なものを1つ選べ。

① マニュアルの見直し

② 規則違反や不安全行動を放置しない風土づくり

③ 過失を起こした者の責任を明らかにする仕組みづくり

④ 過去のエラーやニアミスを集積し、分析する部門の設置

⑤ 従業員にエラーやニアミスを率直に報告させるための研修

答=3

1:正しい

2:正しい

3:間違い、犯人捜しよりも原因究明と再発防止のほうが重要である。

4:正しい

5:正しい

 

問149  17 歳の女子 A、高校2年生。A は、自傷行為を主訴に公認心理師

B のもとを訪れ、カウンセリングが開始された。一度 A の自傷は収束

したが、受験期になると再発した。A は B に「また自傷を始めたから失

望しているんでしょう。カウンセリングを辞めたいって思ってるんで

しょう」と言うことが増えた。B は A の自傷の再発に動揺していたが、

その都度「そんなことないですよ」と笑顔で答え続けた。ある日、A は

ひどく自傷した腕を B に見せて「カウンセリングを辞める。そう望んで

いるんでしょう」と怒鳴った。

この後の B の対応として、最も適切なものを1つ選べ。

① 再発した原因は B 自身の力量のなさであることを認め、A に丁重に

謝る。

自傷の悪化を防ぐために、A の望みどおり、カウンセリングを中断

する。

③ 再発に対する B の動揺を隠ぺいしたことが A を不穏にさせた可能性

について考え、それを A に伝える。

自傷の悪化を防ぐために、B に責任転嫁をするのは誤りであると A

に伝え、A 自身の問題に対する直面化を行う。

答=3

設問から境界性パーソナリティー障害が推察される。

1:クライアントの対人操作行動を強化させるので、不適切

2:見捨てられたとみるやこきおろし暴言や深刻な自傷などの行動化に発展するので、不適切

3:適切

4:不健康な部分に直面化させることは自我主体を崩壊させてしまうので、この時点では不適切

 

問150 9 歳の男児 A、小学3年生。A は、注意欠如多動症/注意欠如多

動性障害(AD/HD)と診断され、服薬している。A は、待つことが苦手

で順番を守れない。課題が終わった順に担任教師 B に採点をしてもら

う際、A は列に並ばず横から入ってしまった。B やクラスメイトから注

意されると「どうせ俺なんて」と言ってふさぎ込んだり、かんしゃくを起

こしたりするようになった。B は何回もAを指導したが一向に改善せ

ず、対応に困り、公認心理師であるスクールカウンセラー C に相談し

た。

C が B にまず伝えることとして、最も適切なものを1つ選べ。

① 学級での環境調整の具体案を伝える。

② A に自分の行動を反省させる必要があると伝える。

③ A がルールを守ることができるようになるまで繰り返し指導する必

要があると伝える。

④ A の年齢を考えると、この種の行動は自然に収まるので、特別な対

応はせず、見守るのがよいと伝える。

答=1

1:正しい。行列にならずにすむような具体的な環境調整が良い。教室に行列を作るとその最後尾には悪魔がいる、といわれる。手持ちぶさたのうえに教師の目も届かず秩序が崩壊しやすいからだ。

2:反省させるのではなく、適切な行動を強化する方策を考える

3:同上

4:自然経過では反抗挑戦性障害へ発展する可能性がある

 

問151  50 歳の女性 A、看護師。A は看護師長として、職場では部署をま

とめ、後進を育てることが期待されている。これまで理想の看護を追求

してきたが、最近は心身ともに疲弊し、仕事が流れ作業のように思えて

ならない。一方、同居する義母の介護が始まり、介護と仕事の両立にも

悩んでいる。義母やその長男である夫から、介護は嫁の務めと決めつけ

られていることが A の悩みを深め、仕事の疲れも影響するためか、家

庭ではつい不機嫌になり、家族に強く当たることが増えている。

A の事例を説明する概念として、不適切なものを1つ選べ。

① スピルオーバー

② エキスパート・システム

ジェンダーステレオタイプ

④ ワーク・ファミリー・コンフリクト

答=2

1:正しい。複数の役割(仕事と家庭)が影響しあう事

2:誤り。AIによる専門的問題解決の技術。ナウい出問だなあ

3:正しい。男女の先入観のこと。

4:正しい。仕事と家庭生活が両立しないこと

 

問152  16 歳の男子 A、高校1年生。A は、スクールカウンセラー B の

いる相談室に来室した。最初に「ここで話したことは、先生には伝わら

ないですか」と確認した上で話し出した。「小さいときからズボンを履く

のが嫌だった」「今も、男子トイレや男子更衣室を使うのが苦痛でたまら

ない」「こんな自分は生まれてこなければよかった、いっそのこと死にた

い」「親には心配をかけたくないので話していないが、自分のことを分

かってほしい」と言う。

B の A への初期の対応として、適切なものを2つ選べ。

① Aの気持ちを推察し、保護者面接を行い A の苦しみを伝える。

② 性転換手術やホルモン治療を専門的に行っている病院を紹介する。

③ 誰かに相談することはカミングアウトにもなるため、相談への抵抗が

強いことに配慮する。

④ クラスメイトの理解が必要であると考え、B から担任教師へクラス全

体に説明するよう依頼する。

⑤ 自殺のおそれがあるため、教師又は保護者と情報を共有するに当たり

A の了解を得るよう努める。

答=3と5

1:守秘に反するので不適切

2:性転換手術は18歳以上、ホルモン治療は18歳以上(条件付き15歳以上)であるから、不適切。早期の治療が良いという意見もあるが、面接初期からすすめるのは早計。

3:正しい

4:守秘に反するので不適切

5:正しい

 

問153  14 歳の男子 A、中学2年生。A について担任教師 B がスクール

カウンセラーである公認心理師 C に相談した。B によれば、A は小学

校から自閉スペクトラム症自閉症スペクトラム障害ASD)の診断を

受けているとの引継ぎがあり、通級指導も受けている。最近、授業中に

A が同じ質問をしつこく何度も繰り返すことや、寝ている A を起こそ

うとしたクラスメイトに殴りかかることが数回あり、B はこのままでは

A がいじめの標的になるのではないか、と危惧している。

C の対応として適切なものを2つ選べ。

① 保護者の了解を得て主治医と連携する。

② 周囲とのトラブルや孤立経験を通して、A に正しい行動を考えさせ

る。

③ A から不快な言動を受けた子どもに、発達障害の特徴を伝え、我慢

するように指導する。

④ Aの指導に関わる教師たちに、A の行動は障害特性によるものであ

ることを説明し、理解を促す。

⑤ 衝動的で乱暴な行動は過去のいじめのフラッシュバックと考え、過去

のことは忘れるように A に助言する。

答=1と4

設問よりASD対応として、1と4が正しい。

 

問154  中学校の担任教師 A。A は、同じ部活動の女子中学生3名につい

て、スクールカウンセラー B に、次のように相談した。3名は、1か

月ほど前から教室に入ることができずに会議室で勉強しており、A が

学習指導をしながら話を聞いていた。先日、生徒たちの表情も良いた

め、教室に入ることを提案すると、名は「教室は難しいが、放課後の

部活動なら見学したい」と言った。早速、A が学年教師の会議で報告し

たところ、他の教師から「授業に参加できない生徒が部活動を見学する

のは問題があるのではないか」との意見が出された。

この場合の B の対応として、適切なものを2つ選べ。

① 部活の顧問と話し合う。

② Aに援助チームの構築を提案する。

③ B が学年教師の会議に参加して話し合う。

④ 学年教師の会議の意見に従うよう A に助言する。

⑤ Aがコーディネーターとして機能するように助言する。

答=2と3

不登校の対応としては、学校内チームとして対応することと、適切に相談できる会議体をもつことは、望ましいと考えられる。多忙な学校現場では新たな会議体を持つことは困難なことから、スクールカウンセラーが学年会に参加し情報共有をする試みが行われている。

よって、2と3が正しい。