公認心理師試験 第2回試験 問79 2019-079
問79 基本感情のうちの怒りについて、適切なものを1つ選ベ。
(1)敵意帰属バイアスは、怒りの喚起を抑制する。
(2)パラノイド認知の性格傾向のある人は怒りを生じにくい。
(3)進化論の観点からは、怒りは自然淘汰上の有利さをもたらす。
(4)怒りの表情に対する認知にっいては、異文化間での共通性はない。
(5)タイプCパーソナリテイの人は怒りを含むネガテイブ感情を表出しやすい。
センターの答え(3)が適切
解説
(1)敵意帰属バイアスは、怒りの喚起を抑制する。→怒りを生起する
(2)パラノイド認知の性格傾向のある人は怒りを生じにくい。→怒りを生じる
(3)進化論の観点からは、怒りは自然淘汰上の有利さをもたらす。→正しい
(4)怒りの表情に対する認知にっいては、異文化間での共通性はない。→共通である
(5)タイプCパーソナリテイの人は怒りを含むネガテイブ感情を表出しやすい。→ネガティブ感情を抑制しやすい
補足
(1)敵意帰属バイアスとは、敵意のない行為でも敵意によるものだと解釈してしまう偏った認知バイアスのこと。
(2)パラノイド認知の性格傾向とは、他人からいつも批判されていると感じてしまう猜疑的で病的な性格傾向のこと、上記(1)はバイアスとしての表現であり、本問(2)はそれをやや病的で持続的な気質というニュアンスで表現したもので、言わんとするものは同じである。DSM5では、クラスターA(A群)パーソナリティー障害に分類され、パラノイドパーソナリティー(障害)=猜疑・妄想性パーソナリティー(障害)と表現されている。
(3)「自然淘汰上の有利さ」とは進化論モデルでは淘汰係数(選択係数)と呼ばれるもので、ごく簡単に言うとどんなやつが生き残って子孫をつくれるか、といったものです。(それが科学的に真実かどうかは別として)、怒りは有害な外的生物から身を守るための有益な感情であったと解釈されています。まあしかし、人類が猿から進化したという確証はありませんし、なにものかによる遺伝子操作によって突然誕生したのかも…
(4)ポールエクマンにより、怒りを含め基本的な感情については国家や文化による違いがないことが明らかにされています。
(5)タイプCパーソナリティーとは、DSM5でいうところのクラスターC(C群)パーソナリティー障害であり、回避・依存・強迫性パーソナリティー障害に分けられる。本群はいずれも抑制的・内向的であり、設問のネガティブな感情は、外向きにではなくむしろ自己の内面に向けられる。
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